認知症について学ぶ オレンジケア Part.5 If you get sick?

若年性認知症について

認知症は高齢者に多い病気ですが、働き盛りの年代でも発症するケースがあり、65歳未満で発症した場合を「若年性(じゃくねんせい)認知症」といいます。厚生労働省「若年性認知症の実態と対応の基盤整備に関する研究」の調査結果(平成21年)によると、全国における若年性認知症の有病者数は約3万8千人おり、そのうち50歳以上が8割超を占めるとされています。

もし、家計を支える家族が認知症になってしまったら経済的な負担や心理的ストレスは極めて大きいことが考えられます。しかしながら、未だ若年性認知症への支援や社会的認知度は低いことが現状です。このリスクを避けるためには早期発見と早期治療がより一層重要となります。

若年性認知症も症状は同じで、中核症状として、新しい記憶が薄れる(数日前のことが思い出せなくなり、やがては数時間、数分前と進行していく)、 時間や場所がわからない(いつ?どこ?が認識できなくなる見当識障害が起こる)、習慣的なことが行えなくなる(それまで普通にできていた料理や作業が上手くできなくなる)などの症状が起こります。

行動・心理症状として、目的地がわからず徘徊してしまう、片付けたことを忘却してしまい盗難されたなど被害妄想が起こる、気分が晴れなくなり、強い不安を感じるなどの症状が起こります。

上記のような症状が続くようであれば若年性認知症のサインである可能性があります。お早めに専門医や若年性認知症コールセンターまで相談してください。

 

出典:厚生労働省「若年性認知症の実態と対応の基盤整備に関する研究」の調査結果(平成21年)

1 調査目的

今後の若年性認知症に対する施策の基礎データを構築するため、平成18年度から平成20年度の3年間において、65歳未満で発症するいわゆる若年性認知症について、全国レベルでの疫学的な実態や、当事者と家族が抱える問題を明らかにする調査を実施した。

2 有病率に関する推計結果

  • (1) 18-64歳人口における人口10万人当たり若年性認知症者数は、47.6人(95%信頼区間45.5-49.7)であり、男性57.8人、女性36.7人と男性が多かった。
  • (2) 全国における若年性認知症者数は3.78万人(95%信頼区間3.61-3.94)と推計された。
  • (3) 30歳以降では、5歳刻みの人口階層において、認知症全体の有病率は1階層上がるごとにほぼ倍増する傾向があった。
  • (4) 基礎疾患としては、脳血管性認知症(39.8%)、アルツハイマー病(25.4%)、頭部外傷後遺症(7.7%)、前頭側頭葉変性症(3.7%)、アルコール性認知症(3.5%)、レビー小体型認知症(3.0%)の順であった。
  • (5) 推定発症年齢の平均は51.3±9.8歳(男性51.1±9.8歳、女性51.6±9.6歳)であった。

※ 調査対象及び方法

熊本県、愛媛県、富山県、群馬県、茨城県の全域における認知症の者が利用する可能性がある全ての保健・医療・福祉関係施設・機関に対し2段階で若年性認知症(発症年齢と調査時点の年齢がいずれも65歳未満の者と定義)アンケート調査を実施。また横浜市港北区と徳島市においても類似の方法で調査を実施。

3 介護家族に対する生活実態調査

  • (1) 最初に気づかれた症状はもの忘れ(50.0%)、行動の変化(28.0%)、性格の変化(12.0%)、言語障害(10.0%)であった。
  • (2) 家族介護者の約6割が抑うつ状態にあると判断された。
  • (3) 若年性認知症発症後7割が収入が減ったと回答した。
  • (4) 多くの介護者が経済的困難、若年性認知症に特化した福祉サービスや専門職の充実の必要性を記載した。

 

 

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