高齢化の現状と将来像

内閣府 『高齢者白書2013』より


01.高齢化率が25.1%に上昇

高齢化率が25.1%に上昇
  • 我が国の総人口は平成25(2013)年10月1日現在、1億2,730万人。
  • 65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,190万人(前年3,079万人)。
  • 65歳以上を男女別にみると、男性は1,370万人、女性は1,820万人で、性比(女性人口100人に対する男性人口)は75.3。
  • 総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は過去最高の25.1%(前年24.1%)。
  • 「65~74歳人口」は1,630万人、総人口に占める割合は12.8%。
  • 「75歳以上人口」は1,560万人、総人口に占める割合は12.3%。
  • 「15~64歳人口」(生産年齢人口)は7,901万人、32年ぶりに8,000万人を下回る。
平成72(2060)年には、2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上
  • 総人口が減少するなかで、高齢化率は上昇。
  • 高齢者人口は、いわゆる「団塊の世代」(昭和22(1947)~24(1949)年に生まれた人)が65歳以上となる平成27(2015)年には3,395万人となり、その後も増加。54(2042)年に3,878万人でピークを迎え、その後は減少に転じるが高齢化率は上昇。
  • 平成72(2060)年には高齢化率は39.9%に達し、2.5人に1人が65歳以上。
  • 平成72(2060)年には75歳以上人口が総人口の26.9%となり4人に1人が75歳以上。
現役世代1.3人で1人の高齢者を支える社会の到来
  • 平成27(2015)年には、高齢者1人に対して現役世代(15~64歳)2.3人。
  • 平成72(2060)年には、高齢者1人に対して現役世代(15~64歳)1.3人。

02.高齢者の健康・福祉

高齢者の半数近くが何らかの自覚症状を訴えているが、日常生活に影響がある人は5分の1程度
  • 65歳以上の高齢者の健康状態についてみると、平成22(2010)年における有訴者率(人口1,000人当たりの「ここ数日、病気やけが等で自覚症状のある者(入院者を除く)」の数)は471.1と半数近くの人が何らかの自覚症状を訴えている。 一方、65歳以上の高齢者の日常生活に影響のある者率(人口1,000人当たりの「現在、健康上の問題で、日常生活動作、外出、仕事、家事、学業、運動等に影響のある者(入院者を除く)」の数)は、22(2010)年において209.0と、有訴者率と比べると半分以下になっている。これを年齢階級別、男女別にみると、年齢層が高いほど上昇し、また、70歳代後半以降の年齢層において女性が男性を上回っている。
  • この日常生活への影響を内容別にみると、高齢者では、「日常生活動作」(起床、衣服着脱、食事、入浴など)が人口1,000人当たり100.6、「外出」が同90.5と高くなっており、次いで「仕事・家事・学業」が同79.6、「運動(スポーツを含む)」が同64.5となっている。
高齢者の要介護者等数は急速に増加しており、特に75歳以上で割合が高い
  • 65歳以上の要介護者等認定者数は平成24(2012)年度末で545.7万人であり、13(2001)年度末から258.0万人増加している(図1-2-13)。
  • 75歳以上で要介護の認定を受けた人は75歳以上の被保険者のうち23.0%を占める。
  • 介護が必要になった場合の費用負担に関する意識について、内閣府の調査で60歳以上の人に尋ねたところ、「特に用意しなくても年金等の収入でまかなうことができると思う」が42.3%、「貯蓄だけでは足りないが、自宅などの不動産を担保にお金を借りてまかなうことになると思う」が7.7%、「資産の売却等でまかなうことになると思う」が7.4%、「子どもからの経済的な援助を受けることになると思う」が9.9%、「その場合に必要なだけの貯蓄は用意していると思う」が20.3%となっている。
主に家族(とりわけ女性)が介護者となっており、「老老介護」も相当数存在
  • 要介護者等からみた主な介護者の続柄をみると、介護者の6割以上が同居している人。
  • その主な内訳は、配偶者が25.7%、子が20.9%、子の配偶者が15.2%。性別では男性が30.6%、女性が69.4%と女性が多い。
  • 同居している主な介護者の年齢について、男性では64.8%、女性では60.9%が60歳以上であり、また、いわゆる「老老介護」のケースも相当数存在。
介護を受けたい場所は「自宅」が約4割、最期を迎えたい場所は「自宅」が半数を超える
  • 「日常生活を送る上で介護が必要になった場合に、どこで介護を受けたいか」についてみると、男女とも「自宅で介護してほしい」人が最も多いが、男性は42.2%、女性は30.2%と、男性のほうが自宅での介護を希望する割合が高くなっている。自宅以外では、「介護老人福祉施設に入所したい」(男性18.3%、女性19.1%)、「病院などの医療機関に入院したい」(男性16.7%、女性23.1%)、「介護老人保健施設を利用したい」(男性11.3%、女性11.2%)が多い。
  • 「治る見込みがない病気になった場合、どこで最後を迎えたいか」についてみると、「自宅」が54.6%で最も多く、次いで「病院などの医療施設」が27.7%となっている。

03.高齢社会対策の実施の状況

高齢社会対策の基本的枠組み
  • 我が国の高齢社会対策の基本的枠組みは、「高齢社会対策基本法」(平成7年法律第129号)に基づいている。
  • 高齢社会対策会議は、内閣総理大臣を会長とし、委員には全閣僚が任命されており、高齢社会対策の大綱の案の作成、高齢社会対策について必要な関係行政機関相互の調整並びに高齢社会対策に関する重要事項の審議及び対策の実施の推進が行われている。
  • 高齢社会対策大綱は、高齢社会対策基本法によって政府に作成が義務付けられているものであり、政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針となるものである。
  • 平成8年7月に最初の高齢社会対策大綱が策定されてから5年が経過した13年12月28日、高齢社会対策大綱が閣議決定された。それから10年が経過したことから、24年9月7日、高齢社会対策会議における案の作成を経て、高齢社会対策大綱が閣議決定された。
  • 高齢社会対策基本法の基本理念に基づく施策の総合的推進のため、
    • 「高齢者」の捉え方の意識改革
    • 老後の安心を確保するための社会保障制度の確立
    • 高齢者の意欲と能力の活用
    • 地域力の強化と安定的な地域社会の実現
    • 安全・安心な生活環境の実現
    • 若年期からの「人生90年時代」への備えと世代循環の実現

    の6つの基本的考え方に則り、高齢社会対策を推進することとしている。

  • 社会保障制度改革国民会議(会長:清家篤慶應義塾長。以下「国民会議」という。)は、社会保障制度改革推進法(平成24年法律第64号。以下「改革推進法」という。)に規定された社会保障制度改革の基本的な考え方や基本方針に基づき、平成24年11月から25年8月まで20回にわたり議論が行われ、8月6日に報告書が取りまとめられた。
  • 政府においては、国民会議の報告書等を踏まえ、社会保障制度改革の全体像や進め方を明示した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」を第185回臨時国会に提出し、12月5日に成立した。
  • マイナンバー制度については、関連4法案を平成25年3月1日に第183回通常国会に提出し、同年5月9日に衆議院において一部修正のうえ可決され、同月24日に参議院において可決・成立した。
  • その後、平成26年1月1日には、個人番号その他の特定個人情報の有用性に配慮しつつ、その適正な取扱いを確保するために必要な措置を講じることを任務とする特定個人情報保護委員会が設置された。

04.高齢者医療制度について

高齢者医療制度について

国民会議の報告書では、「後期高齢者医療制度については、創設から既に5年が経過し、現在では十分定着していると考えられる。今後は、現行制度を基本としながら、実施状況等を踏まえ、必要な改善を行っていくことが適当」とされた。
これに基づき、社会保障制度改革プログラム法では、後期高齢者医療等の保険料に係る低所得者の負担軽減、後期高齢者支援金の全面総報酬割、低所得者の負担に配慮しつつ行う70歳から74歳までの者の一部負担金の取扱い等について検討し、平成27年の法案提出を目指すとされた。また、高齢者医療制度の在り方については、医療保険制度改革の実施状況等を踏まえ、必要に応じ、見直しに向けた検討を行うとされた。

地域における包括的かつ持続的な在宅医療・介護の提供

国民が、可能な限り住み慣れた地域で療養することができるよう、地域包括ケアシステムの実現を目指し、医療・介護が連携して必要な支援を提供する必要がある。そのため、平成25年度から医療計画に新たに在宅医療を位置づけることや、地域医療再生基金等の活用等を通じて、各都道府県の取組を支援した。


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