認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~
2025年(平成37年)には、高齢者の約5人に1人(約700万人)が認知症の人又はその予備群で、高齢化の進展に伴い、認知症の人はさらに 増加するため、認知症の人を単に支えられる側と考えるのではなく、認知症の人が認知症とともによりよく生きていくことができるような環境整備が必要。
新オレンジプランの基本的考え方
認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。
新オレンジプラン 7つの柱
認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
若年性認知症施策の強化
認知症の人の介護者への支援
認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
認知症の人やその家族の視点の重視
認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進

『厚生労働省「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」(概要)』より抜粋して引用すると下記のような施策であることがわかります。
認知症への社会の理解を深めるための全国的なキャンペーンを展開
認知症の人が自らの言葉で語る姿等を積極的に発信認知症サポーターの養成と活動の支援
・認知症サポーターを量的に養成するだけでなく、活動の任意性を維持しながら、認知症サポーターが様々な場面で活躍してもらうことに重点を置く
・認知症サポーター養成講座を修了した者が復習も兼ねて学習する機会を設け、より上級な講座など、地域や職域の実情に応じた取組を推進学校教育等における認知症の人を含む高齢者への理解の推進
・学校で認知症の人を含む高齢者への理解を深めるような教育を推進
・小・中学校で認知症サポーター養成講座を開催
・大学等で学生がボランティアとして認知症高齢者等と関わる取組を推進認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
容態の変化に応じて医療・介護等が有機的に連携し、適時・適切に切れ目なく提供・早期診断・早期対応を軸とし、妄想・うつ・徘徊等の行動・心理症状(BPSD)や身体合併症等が見られても、医療機関・介護施設等での対応が固定化されないように、最もふさわしい場所で適切なサービスが提供される循環型の仕組み早期診断・早期対応のための体制整備
かかりつけ医の認知症対応力向上、認知症サポート医の養成等・歯科医師
・薬剤師の認知症対応力向上
・認知症疾患医療センター等の整備
・認知症初期集中支援チームの設置行動・心理症状(BPSD)や身体合併症等への適切な対応
・医療機関・介護施設等での対応が固定化されないように、最もふさわしい場所で適切なサービスが提供される循環型の仕組みを構築
・行動・心理症状(BPSD)への適切な対応
・身体合併症等に対応する一般病院の医療従事者の認知症対応力向上
・看護職員の認知症対応力向上・認知症リハビリテーションの推進認知症の人の生活を支える介護の提供
・介護サービス基盤の整備
・認知症介護の実践者⇒実践リーダー⇒指導者の研修の充実
・新任の介護職員等向けの認知症介護基礎研修(仮称)の実施医療・介護等の有機的な連携の推進
・医療・介護連携のマネジメントのための情報連携ツールの例を提示
・地域ケア会議で認知症に関わる地域資源の共有・発掘や連携を推進
・認知症地域支援推進員の配置、認知症ライフサポート研修の積極的活用
・地域包括支援センターと認知症疾患医療センターとの連携の推進若年性認知症施策の強化
・若年性認知症の人やその家族に支援のハンドブックを配布
・都道府県の相談窓口に支援関係者のネットワークの調整役を配置
・若年性認知症の人の居場所づくり、就労・社会参加等を支援認知症の新 人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
① 生活の支援(ソフト面)
② 生活しやすい環境(ハード面)の整備
③ 就労・社会参加支援
④ 安全確保認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
・高品質・高効率なコホートを全国に展開するための研究等を推進
・認知症の人が容易に研究に参加登録できるような仕組みを構築
・ロボット技術やICT技術を活用した機器等の開発支援・普及促進
・ビッグデータを活用して地域全体で認知症予防に取り組むスキームを開発認知症の人やその家族の視点の重視
① 認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーンの実施
② 初期段階の認知症の人のニーズ把握や生きがい支援
③ 認知症施策の企画・立案や評価への認知症の人やその家族の参画
認知症高齢者等にやさしい地域づくりを通じ地域を再生する

認知症高齢者等にやさしい地域の実現には、行政だけでなく、民間セクターや地域住民自らなど、様々な主体がそれぞれの役割を果たしていくことが求められおり、対応に当たっては常に一歩先んじて何らかの手を打つという意識を社会全体で共有していかなければなりません。そして、認知症高齢者等にやさしい地域は、決して認知症の人だけにやさしい地域ではなく、コミュニティーの繋がりこそがその基盤であり、地域を再生するという視点も重要です。
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